長編2

□13章
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*   *   *


それは一瞬のフラッシュバックの様な事だった。


頭に今までの記憶が走馬灯のように流れ込んできた。



そして、はっと気がついた時には、リオンの姿は既に無い。



「…………っ、リオン!?」


辺りを見渡すもリオンの影など見当たらない。



「くそっ!!」



リオンを探したかったが、今はそれどころではない。



シャルティエが血を流して倒れているのだ。



「シャルティエっ!!しっかりしろっ!」



シャルティエを抱き起し、呼びかけると、ピクリと彼の身体が反応した。



「…………ス、……ン?……よか、…た……か……せい……した、っ……だ……」



「喋らないで下さい!今応急措置しますから!!」



傷口を布で押さえつけるも、血が止まらなかった。


「ダメだ。このままじゃっ…………?」



スタンの手の上に、別の誰かの手が重ねられた。




「あなたは?」




「フィンレイだ」




「フィンレイって、リオンが言っていたあの?」




「話は後だ。私も聞きたい事はある。だが、今はシャルティエ君の血を少しでも止めて、ハロルドの所に連れていくことが優先だ」




「は、はいっ!」




2人してやっとの事で血の量を抑える事が出来ると、傷口を抑えながらハロルドの元へと向かった。



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