長編2
□12章
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薄暗い部屋に、折り重なる二つの影あった。
その一方の影からは、苦痛が混じった喘ぎが発せられている。
「…………ゃ、あ………んぅ、ああっ!」
せめてものの抵抗なのか、シーツを強く握り、顔を押し付けて声が出来るだけ出ない様にしている。
「強情な奴だ。素直になれば、もっと楽になれるものを」
ミクトランはさらにリオンとの結合を深くした。
「ひっ、ああぁっ………もぅ……っ」
「どうした?はっきり言わねば、分からんぞ」
「あぁ……はっ……んんっ…」
口に出す事を拒んでいるうちに、ミクトランがどこからか紐を取り出した。
それをリオン自身の根元に括りつけた。
「いっ……や、やめっ………んぁっ」
「取って欲しいならば、何と言えばいいか分かるだろう?」
リオンが言葉を発する前に、ミクトランは動きを速め、わざと言わせない様に仕向ける。
「ひ、あああっ………やぁっ……!」
イきたくてもイけない状態に、次第にリオンの目から涙が流れ始めた。
「《あの時》もどうすればいいか教えただろう?」
囁き終えると同時に、耳の中に舌を捻じ込み、愛撫をほどこす。
「ふぅ、あああっ!」
その愛撫から逃れようと首を捻ろうとするが、それさえも許さないと言わんばかりにリオンの頭を上から押さえつけていた。
「やあっ!!…………おねがっ………ヒュー、ゴ……さ………あああっ!」
リオンの口からヒューゴの名が出てくると、ミクトランは眉間に皺を寄せた。
それが気に食わなかったのか、頭を押さえつけていた手を首に持っていき、気道を少しずつ塞いでいく。
「いぁ………ああっ……やっ…」
「私は誰だ、リオン」
「あっ………っ!」
言葉を出そうと口を動かすも、徐々に加えられる力にうまく言葉を発せられなくなっていた。
《あの時代》ではヒューゴであったミクトランを、リオンが間違うのも仕方がないと言えば仕方がない。
だが、今は自分の身体を取り戻しミクトランとして存在している以上、ミクトランはそれが気に食わなかったのだ。
過去が誰であれ、今目の前の少年を支配しているのは、自分だと言う事を思い知らせたかったのだ。
過去の関係がどうであれ、今は亡き名を呼ばれるのは屈辱以外の何物でもなかった。
「早く言わぬと、このまま絞め殺しても構わぬのだぞ。そうすれば、奴らは救われんがな!」
リオンが今死のうが、奴らがこの輪廻から解き放たれなかろうが、ミクトランからしてみればどうでもよい話だった。
そう、今企てている計画が為せば、それ以外の事などどうでもいいのだ。
「だが、今ここでお前に死なれては困るのでな。今回は、これぐらいにしておいてやる」
「っ………げほっ、ごほっ………っ!」
「あぁ、そう言えば。お前を愛してやるという約束だったな」
取ってつけた様なセリフだが、今まで首を絞められていたリオンの意識は朦朧としていて、ミクトランの言葉が入ってこなかった。
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