長編2

□10章
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ある部屋の中は、周りが明るかろうが暗かろうが、常に暗かった。


室内には無数の機会が動く音が、互いに響きあい不協和音を奏でている。


そんな部屋の中に、液晶から放たれる光が一か所だけあった。



光は青白く、不気味さを感じさせる。



そんな光の前に、1人の人物がいた。


はっきりとは映し出されないが、その人物の口が嗤っているのだけは認識出来た。



「くくくっ、あの2人も動きだしたか。どいつもこいつも私の手の中ということに気がつかない馬鹿共ばかりだ」



その少し高めの男の声は、さぞ愉快と言わんばかりだった。



光を発している機会の本体の画面には、多数の映像が映し出されている。



その映像の中央には、リオンが複数の生徒に恥辱されている姿が映し出されていた。



それ以外にも、アシュレイやロニ、シャルティエ、ハロルド、ウッドロウまでもが映し出されていた。



そして、画面の端にはスタンの姿もある。




「そろそろリオンに救いの手を差し伸べてやらねばな………」



男が立ち上がると、闇の中へと消えていった。



それと同時に、プシューと空気の抜ける音がしたかと思うと、鈍い音を立てながら何かが開く音がした。



そして、ペタペタとその部屋には不釣り合いな足音がなる。



その足音は、先程男がいた液晶画面の前で止まった。



光に映し出されたシルエットは、先程の男よりかは低めだが、背の高い男の姿だった。



その男は画面をざっと見ると、1人の人物に目が止まった。






「……………見つけた」





男は嬉しそうに口角をあげた。





さらに、違う映像を見た時、男の口角が一気に下がり、唇を噛み締めていた。





「………あなたまでっ!」






男は液晶から顔を上げると、その場から姿を消した。



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