長編2
□9章
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それからジョブスは、リオンから離れる事は一切無かった。
それは学園中に一気に広まった。
その為、直接リオンに手を出す輩は居なくなった。
だが、その代わりに………
「…………っ!?」
「どうかし………って、マジかよ」
いつの間に仕込まれたのか、教科書の端から、カッターナイフの刃を折ったものがはみ出していた。
知らずに触ったリオンの指からは、血が流れている。
「大丈夫か?」
「心配ない。かすり傷だ」
「かすり傷って、そういう問題じゃないだろ」
「……気にするな」
あまりにも当事者が無関心なため、彼の代わりにジョブスがクラスの気配を探る。
だが、リオンに敵意を持った者や嘲笑う者は居なかった。
そうなると他のクラスの生徒の仕業で、犯人など分からず何も出来なかった。
「……放って置けばいい」
何か言いたそうなジョブスに、リオンはそう言って釘を刺した。
(何かして、僕以外の奴に被害が及ぶのはごめんだ)
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