長編2
□8章
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朝の早い時間に、1人の生徒は既に教室に来ていた。
教室には来るのにまだ早い時間なため、教室にはその生徒以外には誰もいなかった。
その生徒はただじっと外を眺めているだけなのに、どこか気品が漂う。
「おはようございます!」
その教室に息を切らせながら入ってきたもう一人の生徒。
そんな彼に気がついた生徒は、微笑んだ。
「おはよう、スタン君。何をそんなに焦っているんだい?」
「待たせたら悪いと思ったんで。お久しぶりです、ウッドロウさん!」
スタンが笑うと、それにつられて褐色肌で肩口の所で綺麗に切り揃えられた銀色の髪を揺らす生徒・ウッドロウも微笑む。
「君からこんな朝早くに連絡が来るとは思わなかったよ」
「いや〜俺も本当に驚いてます。俺にも、こんな朝早くに起きれる事があるなんて想像してませんでしたよ」
軽い談笑をする2人からは、学年は違えど親しい仲だというのが伝わって来る。
「それより、相談とは何かな?君が、人を避ける程だ、何か重要なことなんだろ?」
「あ〜はい。あの、ここ以外にゆっくり出来る場所ってあります?」
「なら、あそこに行こう」
ウッドロウが教室から出ていくので、その後を大人しく付いていくスタンだった。
「うわ〜すっごいな〜。同じ寮とは、思えないですね〜」
「まぁ、Sクラスの人への対応は、ここではビップ並の扱いだからね」
スタンが連れてこられた場所というのは、ウッドロウの寮部屋。
彼はSクラスで、さらに最高学年ということもあり、高級マンションの一室なのではないかという部屋が与えられていた。
玄関口には1人の執事が待っていた。
「殿下、この者は?」
「私の友人だよ。今日は、彼と大事な話をするのでね、学園の方に連絡を頼むよ」
「承知いたしました」
するとさっと身を引く執事。
その一部始終のやりとりを見ていたスタンは、ただ呆然としていた。
「Sクラスって、執事もいるんですか?」
「そうだよ。1人に1人の執事が付く」
少し羨ましいと思ったスタンなのだった。
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