長編2

□7章
2ページ/10ページ




スタンは授業中にも関わらず、ずっとため息をついては消しゴムを転がして遊んでいた。



(はぁ〜大丈夫かな、リオン?)



彼の頭を占めているのは、完全にリオンだった。



(それにしても、あの夢はなんだったんだろう?夢に出てきてたの、あれリオンだって分かったんだけど、何で泣いてたんだろう?)



リオンの事を考えていると、初めて見た夢のことを思い出していた。



(すごく胸が苦しくて、悲しかった。あんな夢初めてだ。………あれからずっとリオンが気になって仕方がないんだよな〜お見舞い、行こうかな?)



ぼぅーっと考えていると、窓際に座っているスタンに気持ちがいい日差しが当たり、眠気を誘われる。


次第にうとうとし始めたスタンは、そのまま眠ってしまった。



一度寝ると中々起きないで評判なスタンを起こせるものなど、この学園にはおらず、彼が自然と目を覚ますまでどうすることも出来なかった。





*   *   *



「………んっ!………さんっ!!……スタンさんっ!!」



「うわあっ!!」



急に耳元で叫ばれて飛び起きたスタンが目にしたのは、ロニの姿と西日が教室を照らす光景だった。



「まさか、今の今までずっと俺寝てた?」


「それはぐっすりと。クラスの人たちが、必死に起こしてましたけど、スタンさん中々起きないし」


「あ〜ごめん。……てか、今何時?」




「4時半ですね」



「ホントに?」


「ホントです」



「うわぁ〜まだ、いるかな?ごめん、ロニ!ちょっと俺、寄る所があるから!!」



そう言うと、鞄を引っ掴んで教室を早々と去っていった。



後に残されたロニは、ただ彼が消えた扉の向こう側を見るだけだった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ