長編2
□6章
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一見何も変化の無い一日の学校生活の始まり。
大勢の生徒が登校し、各々教室へと入っていく。
だが、そんな代わり映えしない景色の中、狂喜が潜んでいた。
それは上手く隠され、一見分からない。
その狂喜が顔を覗かせれば、狂宴が始まる。
リオンが他の生徒よりも遅く登校してきた。
誰も彼に注目している生徒などいない。
(…………3人、いや5人か?)
だが、明らかに敵意を向けた眼差しが、痛いほど肌に突き刺さる感覚をリオンは、これからの事を思い、重い息を吐き出した。
謀ったかのような静けさに、またため息を一つ吐きだす。
こうも分かりやすいと、本当に諦めがつく。
だけど、心のどこかで抗う己もいる。
「……………っ?!」
狙われているのに思わず物思いに耽ってしまったため、いきなり衝撃に対応だ出来なかった。
「おい、考え事とは随分余裕だな」
薄暗い部屋に連れ込まれたかと思えば、5人の生徒に囲まれた。
「リオン様は、俺達下っ端な兵士に何言われようが、されようが関係ないもんなっ!」
「っぅ………」
突き飛ばされ近くにあった机に激突する。
「俺ら、テメーを許さねーから!」
(こいつらに僕は、何をしたのだろうか?身に覚えがない………でも、明らかに転生者だ)
ぼーっとそんな事を考えていると、自分たちを見ていないリオンが気に食わないというように、彼らはリオンを床に押し倒し、上からさらに圧迫した。
「ぐぅ………っ」
息が詰まり、碌に呼吸が出来ない。
「おい、あまり派手なことは見つかるとまずい」
「はっ!見えないとこにすりゃあいい話だろう?」
「まぁ、いい声で啼けや」
彼らの目には、明らかに殺意があった。
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