長編2
□5章
1ページ/5ページ
シャルティエはリオンを落ち着かせるため、眠らそうとした。
だが、それをリオンは頑なに拒んだ。
理由を聞けば、怖いと言う。
それが何を意味するか、シャルティエには痛いほど分かった。
自分も同じだからだ。
輪廻の鎖は、彼に比べればマシな方だ。
だけど、この苦しみからは逃れられない。
否、逃れる術を知らない。
この鎖から解放される方法を知っているのは、彼らだけだろう。
「坊ちゃん、何があったか教えてくれませんか?」
リオンを背後から抱きしめ、安心させるように頭を撫でた。
「…………っ、」
何か話そうと口を開くも、すぐに硬く閉じられた。
「じゃあ、答えなくていいので、僕の話を聞いて下さい」
こくりと頷いたのを確かめてから、シャルティエは話始めた。
「今までの輪廻は、あまりにも皆が離れすぎていました。彼らや僕が、貴方を見つけた時には、いつも手遅れだった。
知らないと思いますが、彼も同じ時代に輪廻転生はしていたんですよ?
ただそれが、運命の悪戯というのでしょうか?
2人が出会う前に、どちらかが消えてしまう。
それは今までの時代上、仕方ないことだと思います。
だけど、今回の輪廻だけは違う。
この閉鎖的な空間に、転生者が収容されています。
僕はここ最近、ずっとハロルドと調べてました。
今までの輪廻と今回の輪廻。
何かあるのではないかと。
でも、いくら調べてもこればかりはどうしようもく、輪廻から外れた者もおらず、終わり方など分かりませんでした。
だけどね、坊ちゃん。
良い事が一つだけありました。
それは、貴方と彼との距離が時代を重ねる毎に格段に縮まっています。
そして、今回が一番近い。
恐らく、この機を逃せば、この鎖から解放されることは出来ないと、僕らは推測しました。
だから、諦めないで欲しいんです。
もう、これ以上貴方に苦しんで欲しくない。
貴方の周りには、強い味方がたくさんいます。
そして立場上、皆貴方を支えれるような位置にいます。
だから、一緒に頑張りましょう?」
.