長編2

□3章
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*   *   *


リオンがシャルティエに詰め寄っていく。


「何か知ってるんじゃないのか、シャル!!」



「知ってるって、何をですか?」



しらを切ろうとするシャルティエだが、リオンも一歩も譲らない。



「惚けるな!!僕が見る“夢”のことだって、分かった様な口を聞くじゃないか!あいつが言った!“夢”が敵視される原因だって!!」



シャルティエの服を掴むと、縋るように彼を見た。



リオンの瞳が真剣さを物語ってはいるが、どこか悲しそうだった。



それを見るに耐えかねたシャルティエは、彼から視線を反らして、唇を噛んだ。



「どうなんだ、シャルっ!!」



「………っ、ごめん、なさい。僕は何も知らないっ」




シャルティエからの返答は、リオンが欲しいものではなかった。


リオンが幼少の頃から側にいてくれたシャルティエが、嘘を吐いていることぐらい分かった。



「何故、嘘をつく?」



「何も、知らないんですっ」



それでも頑なに嘘をつくシャルティエに、リオンの顔が悲しみに彩られていく。



「………そう、か。すまなかった」



リオンが服から手を放す。


「坊ちゃん?」


少し様子が可笑しいと思い、リオンに視線を向けるが、彼は俯いていた。


そして、長い前髪が彼の顔を隠し、より表情を伺うことは出来なかった。



リオンはシャルティエから離れると、ゆっくりと玄関の方へと向かっていった。



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