長編2
□3章
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リオンがシャルティエに詰め寄っていく。
「何か知ってるんじゃないのか、シャル!!」
「知ってるって、何をですか?」
しらを切ろうとするシャルティエだが、リオンも一歩も譲らない。
「惚けるな!!僕が見る“夢”のことだって、分かった様な口を聞くじゃないか!あいつが言った!“夢”が敵視される原因だって!!」
シャルティエの服を掴むと、縋るように彼を見た。
リオンの瞳が真剣さを物語ってはいるが、どこか悲しそうだった。
それを見るに耐えかねたシャルティエは、彼から視線を反らして、唇を噛んだ。
「どうなんだ、シャルっ!!」
「………っ、ごめん、なさい。僕は何も知らないっ」
シャルティエからの返答は、リオンが欲しいものではなかった。
リオンが幼少の頃から側にいてくれたシャルティエが、嘘を吐いていることぐらい分かった。
「何故、嘘をつく?」
「何も、知らないんですっ」
それでも頑なに嘘をつくシャルティエに、リオンの顔が悲しみに彩られていく。
「………そう、か。すまなかった」
リオンが服から手を放す。
「坊ちゃん?」
少し様子が可笑しいと思い、リオンに視線を向けるが、彼は俯いていた。
そして、長い前髪が彼の顔を隠し、より表情を伺うことは出来なかった。
リオンはシャルティエから離れると、ゆっくりと玄関の方へと向かっていった。
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