長編2
□2章
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勢い良く体を起こしたリオン。
まだ、夜は明けていない。
だが、月明かりに照らされたリオンの肌は普段白いのに、今は蒼白になっている。
初めて見る夢のはずなのに、体が覚えているのか、涙が止まらなかった。
「あっ……シャル、シャルっ!!」
震える体を抑えるため、肩を抱き寄せる。
「助け、てっ………シャルっ!!」
また目を閉じれば、あの夢を見そうで怖かった。
だが今の時間帯は、シャルティエも就寝している。
起こしたくは無かった。
だけど、1人は嫌だ。
1人で葛藤していると、ふと先程の夢を思い出してしまい、体の震えがさらい酷くなった。
そして、寝てもいないのに先程の言葉が甦ってきた。
『裏切り者!!』
「っ!………何だ、これ………やめて、くれ……嫌だ、やだ……っ」
耳を塞いで、リオンは朝が来るまでずっとそのままだった。
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