長編2
□序章
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「…………は、私から逃げられないのだよ」
「いつの時代も……」
「お前は、本当に役に立つ」
あの男から逃げようとしても、隠れようとしても、気がつけば近くにいた。
いつの時代の記憶を視ても、最後には彼の駒として動かされていた。
否、あの男に関わっていないのに、記憶が全てそうさせる。
僕は何もしていない。
それなのに、あの記憶だけで僕はあの男と繋がっているとされる。
そして、僕は1人になる。
大事な人も僕の側から奪われていく。
もう、うんざりだ。
もう、嫌なんだ。
一度だけでいいんだ。
『彼』に会えれば、それだけで。
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