長編2
□序章
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ゴォォォゥ───
と濁流が押し寄せてくる音が、この海底洞窟に響き渡る。
「……話は後だ!早くこっちにこいよ!」
「僕はお前のような能天気で、図々しくて、馴れ馴れしい奴が…大嫌いだ。だから……後は任せた」
レバーを押して、彼らを逃がす。
最後まで僕を助けようとしていたな。
本当に馬鹿な男だ。
濁流が流れ込み、ここも時間の問題だ。
傍らにいる相方と最後を迎える。
これで良かったんだ。
その後、濁流に呑まれて結構な距離を流された。
息も出来ず、薄れていく意識の中、視界に広がるのは光が差し込む海面。
霞みがかってきた意識の向こう側には、僕には眩しすぎる金色の髪。
今度はただの友人として
巡り逢えたらと────
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