長編
□願うならば……9
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「……ジュー、ダス?」
絞りだした声は少し枯れていた。
「リオン………」
「な………何だ?」
「………僕もリオンは可愛いと思うぞ」
言い終わると同時に不敵な笑みを向けた。
「………っな?!い、いいつから起きてたんだ?!」
「初めから」
初めから全部聞かれていた事に羞恥を感じ、頬を朱に染めた。
「ふ、ふざけるな!!そして、いい加減離せ!」
「………無理だな。離すとどっか行くだろ?それより、アイスキャンディーを食べに行かないか?」
『うわぁ〜良いですね!坊っちゃん行きましょうよ!食べた感想聞かして下さい』
ジューダスの提案に直ぐ様のったのはシャルティエだった。
「しかし、誰もいなくなったらイレーヌが……」
「それでしたら、私がイレーヌお嬢様にお伝えしておきますが」
今まで話の内容を伺っていたメイドが、イレーヌが戻って来たら引き留めておくと言ってきた。
「頼めるか?」
「はい。どうぞ、行って下さい」
「行くぞ、リオン」
ジューダスはリオンの言い分も聞かずに、握ったままの手を引っ張ってリオンを連れ出した。
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