長編
□願うならば……9
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ノイシュタットに着いた一行はイレーヌの屋敷に向かった。
屋敷に着いてもイレーヌとすれ違い、イレーヌが戻るまでスタン達は広場にあるアイスキャンディー屋に行くことにした。
一方、リオンはイレーヌを待つため屋敷に残った。
リオンが1人で残ると言うが、ジューダスは意見を無視してリオンと一緒に残った。
かといって会話をするわけでもなく、リオンはシャルティエを振り、ジューダスは椅子に腰掛け目を瞑っていた。
「……はっ、はっ」
暇潰しにシャルティエを振るうも誰も帰ってくる気配がない。
ふと窓際に腰掛けているジューダスを見た。
日の光がジューダスの髪にあたり銀髪が光っていた。
「………ジューダス?」
だが返事は返ってこない。
「寝ているのか?」
普段あまり人前で寝ないジューダス。
いつも最後に寝て、早起きなリオンでさえ彼より先に目を覚ますことはない。
初めて見る寝顔。
普段見れない分、もっと間近で見ようと近寄る。
「こうまじまじと見ると、綺麗な顔してるな」
『坊っちゃんも負けず劣らず、綺麗だし可愛いですよ!!』
シャルティエはあたかも自分の事の様に力説した。
「……僕は男だぞ。可愛いと言われても嬉しくない」
『僕からすれば坊っちゃんはカッコいいし、綺麗だし、可愛いのですよ!!』
「何だそれ…………ジューダスは大人の魅力があって良いな」
リオンはキラキラ光る髪に触ろうと手を伸ばす。
だがそれは髪に触れる前に遮られた。
「なっ………」
腕を取られ引き寄せられた。
鼻先が触れそうなぐらい近く、他人を射抜く程の瞳とかち合った。
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