長編

□願うならば……8
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「どこに行くんだ、リオン」


「グレバムを取り逃がした。今ならまだ間に合う!」

「スタン達はどうした?」

「あいつらは足手まといだ!置いて…………っ?!」


パァン、と渇いた音が響く。


「………なっ?!」


打たれた頬を押さえながら、リオンは目を見開く。


「追った所で何が出来る?神の目を持ったグレバムに対して、1人で対抗できるとでも思っているのか?」


ジューダスの厳しい一言にリオンは押し黙る。


「僕は言ったはずだ。任務に固執しすぎて大事なものを見失うな、と」

「………っ、あいつらは足手まといだ!!」


「ならば、1人で行けばいい。だが、僕はスタン達を助けに行く」

「何故だ?!」

「仲間を助けるのに理由なんているのか?スタンもきっとそうだ。………助けられてのだろう?」


強く責めるのではなく、優しく問いかけるように言われたリオンは、先ほどの出来ごとを思い出す。

頭には、必死に自分を助けようとするスタンの顔が浮かぶ。


「そうだぞ、リオン。その人の言うとおりだ」


突如声のした方に向き直ると、そこにはバルックがいた。


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