長編
□願うならば……8
2ページ/4ページ
「どこに行くんだ、リオン」
「グレバムを取り逃がした。今ならまだ間に合う!」
「スタン達はどうした?」
「あいつらは足手まといだ!置いて…………っ?!」
パァン、と渇いた音が響く。
「………なっ?!」
打たれた頬を押さえながら、リオンは目を見開く。
「追った所で何が出来る?神の目を持ったグレバムに対して、1人で対抗できるとでも思っているのか?」
ジューダスの厳しい一言にリオンは押し黙る。
「僕は言ったはずだ。任務に固執しすぎて大事なものを見失うな、と」
「………っ、あいつらは足手まといだ!!」
「ならば、1人で行けばいい。だが、僕はスタン達を助けに行く」
「何故だ?!」
「仲間を助けるのに理由なんているのか?スタンもきっとそうだ。………助けられてのだろう?」
強く責めるのではなく、優しく問いかけるように言われたリオンは、先ほどの出来ごとを思い出す。
頭には、必死に自分を助けようとするスタンの顔が浮かぶ。
「そうだぞ、リオン。その人の言うとおりだ」
突如声のした方に向き直ると、そこにはバルックがいた。
.