長編
□願うならば……7
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リオン一向は予定通り、神殿内部へ侵入した。
そこでもフィリアに対してジューダスの自己紹介が行われたのは言うまでもない。
襲ってくるモンスターやグレバムの一味を一掃しながら、奥へと進んでいく。
しかし、彼らに予期せぬ事態が起こった。
後方で倒れ伏せていたモンスターが仲間を呼び寄せ、援護していたルーティとフィリアがモンスターに囲まれてしまった。
「ルーティ!フィリア!」
「大丈夫!!囲まれただけ!」
前衛で戦っていたリオンとスタンでは距離がありすぎて、助けに行く時間がない。
「ネガティブゲイト」
「こっちは私たちでなんとか…………っ?!」
「ルーティ!」
急にルーティとフィリアの前に黒い球体が現れ、敵を刻みこんでいく。
目の前にいたモンスターは全滅した。
さらに、別の晶術がルーティとフィリアを囲んでいた残りのモンスターを襲った。
「………これフィリアがやったの?」
「違いますわ!私、こんな晶術使えません」
『属性的に闇じゃのう。シャルティエか?』
『僕じゃありません。今の晶術を使ったのは、ジューダスです』
皆が一斉にジューダスを見る。
ジューダスは何も無かったことのように涼しい顔をしていた。
『一体あいつは何もだ?!レンズ無しに晶術など無理だ!!』
「……僕はただの旅人だ、ディムロス」
『!!………我の声が聞こえるのか?!』
「言ってなかったか?…………まぁ、そういうことだ」
ジューダスはそれ以上何も語らなかった。
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