長編
□願うならば……4
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ジューダスはフィンレイを追う支度を整えている途中、激しい頭痛に見舞われた。
「……っあ………な、んだ……っぅ」
あまりの痛さに意識が遠退き始める。
何とか踏みとどまろうとするも、その波に逆らうことは許さないかのように、ジューダスの意識を奪っていった。
「…………く、……っり、オンっ」
ジューダスは完全に意識を失った。
「……………っ!?」
あの時と同じように、強い力によって意識が浮上させられた。
「くそっ!一体何なんだ?!」
悪態をつきながらも、気を失う前のことを思い出す。
自分が一体どれぐらい気を失っていたのかが気がかりで、急いで受付の横に備えられている日付に驚愕した。
「………そんなっ………こんな馬鹿なことって?!しかも、この日付は」
ジューダスが見た日付は、リオンがヒューゴの命令によって、フィンレイを殺した………忌まわしい記憶の始まりの時だった。
「………ダメだ!リオンに、同じ事をさせては……っ!!」
時刻を見たジューダスの顔には、さらに焦りの色が浮かぶ。
「…………くそっ!」
再び悪態つくと、城に向かった。
静まりかえった街中を駆けるジューダスの胸中には、嫌な予感が漂っていた。
ただひたすら、「間に合ってくれ」と祈ることしか出来なかった。
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