長編

□願うならば……3
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* * *


難を逃れられたジューダスは、リオンの部屋へと案内されていた。


「………何故、僕をここに?」

「え、あっ………シャルの声が、聞こえたから」


リオンの周りには、シャルティエの声が聞こえる者がいない。


それ故か、リオンは部屋から人払いをし、鍵まで掛け、ジューダスを見る目は輝いていた。


「本当に、聞こえているんだな?」

「まあな。僕にも、資質はどうやらあるらしいな……」


リオンを何とか誤魔化そうとするが、もう一人の視線が疑っていた。


「……………ι」

「シャル、何をそんな怖い顔をしているんだ?」

『だって、この人、僕のことシャルって言ったんですよ〜 しかも、何か呼び慣れてたし〜 怪しいですよ!!』


シャルティエの言葉に何て言い訳をしようかと考えていると、ふいに服の裾を引っ張られた。


「何だ?」

「お前、シャルの前の持ち主じゃないのか?」


ああ、と頷くとさらにリオンが畳み掛けてきた。


「じゃあ、何でシャルのこと知ってたんだ?」

「ここに来る途中に声が聞こえたからな。それで、リオンがシャルって呼んでたからな」


ふ〜ん、と素っ気ない返事をしたリオンは、そのことに興味をもう無くしたのか、違う話を始めた。


「お前、名前は?」

「………ジューダスだ」

「ジューダス……、剣、出来るのか?」

「ああ、それなりにな」


ジューダスが応えると、リオンの目が輝いた。

それを見たジューダスは、昔の自分はこうだったのかと思う反面、目の前の子供が可愛く思えた。


(……僕は、もうリオンで無くなったのだ。これもカイルたちのおかげなんだろうな)


それが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。

そんなジューダスを見たリオンが顔を朱に染めたことなど、ジューダスは知る由も無かったが。


「どうかしたか?」

「っ、何でもないっ!!少し、待ってろ!!」


リオンは顔を見られたくなかったのか、シャルティエを残して部屋を飛び出していった。



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