長編

□哀歓
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『坊ちゃんには僕がついてます!!だから、寂しくなったらいつでも話して下さい。どんなことでも聞きますから』


「シャル………僕は、お前が側にいてくれることだけで十分だ」


『坊ちゃんっ!!』


シャルティエは嬉しさのあまりリオンの横ではしゃいでいた。


リオンはそれを苦笑し、最終的にはシャルティエを叱った。


それでもシャルティエは、嬉しさが勝ちずっとはにかんでいた。


そんな穏やかな空気の中、一人の兵士がリオンの元へやってきた。


「リオン様、お時間です。訓練所までお越し下さい」


この後、リオンは兵士たちとの手合わせが入っていた。



* * *



キィィィン


「剣圧が弱い!!……次っ!!」


リオンは兵士の剣を凪払うと次の兵士へと検を向ける。


「はぁぁぁぁっ!!」


兵士がリオンに走り込み、検を振るう。


しかし、リオンは難なくかわし兵士の手から剣を叩き落とす。


「隙がありすぎる。それでは、敵に狙われるぞっ!!………次っ!!」


このようなことをかれこれ二時間はやっているだろう。


日ももう夕暮れ時に差し掛かる。


「………次っ!!」


『坊ちゃん、少し休憩した方がっ!?』


「これぐらい何ともない」


リオンは鼻で笑うと向かってくる兵士を簡単にあしらった。


そして、尻餅をついた兵士の鼻先に剣先を突きつけた。


「踏み込みが弱すぎる。その図体は飾りか?」


「………っく」


兵士は悔しそうに顔を歪ませる。


「今日はここまでだ」


リオンの一言に兵士は疲れた体を癒やしにシャワー室へと向かう。


『坊ちゃん、お疲れ様です』


「………あぁ。シャル、もう少し付き合ってくれないか?」


『まだ、やるんですか?!』


心配性なシャルに苦笑しつつ答えた。


「心配するな。あいつらが帰ったらする。それまでは、休憩だ」


その言葉を聞いたシャルティエは安堵した。


『坊ちゃん、今日はなかなか剣技が冴えてましたよ』


「体が軽かったからかもしれんな。でも、まだまだだ。あの人に比べれば僕はひよ子の様なものさ」


リオンは憂いを帯びた瞳で語る。


『(あの人とは………恐らくフィンレイ様なんでしょうね)』


シャルティエはあの人のことを聞いてはいけないような気がして言えなかったが、だいたいの推測はついていた。


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