長編
□願うならば……29
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気がつけば草原の真ん中に寝ていた。
それをカイルとリアラが見つけたらしい。
2人がいるということは、今までのは僕が見せた都合のいい、夢だったのだろう。
そう思った矢先のことだった。
「ジューダス、お帰り。タイムトラベルはどうだった?」
リアラの言葉に衝撃を受け、しばらく固まった。
ある程度して思考が定まりつつあるジューダスにカイルが追い打ちをかける。
「それにしても、今のジューダスカッコいいよね!!銀髪の髪が凄く似合ってる。太陽の光でキラキラして綺麗だね」
銀髪の髪。
それはリオンを救うための仮の姿だった。
そして、リアラの言うタイムトラベル。
「リアラ、ここはどこだ?」
「ふふ、フォルトゥナを倒して修正された後の未来よ」
「なん、だとっ?!何故、僕はここに存在してるんだ?!」
「それも含めて、全て話すわ。その様子だとシャルティエさんの願いは何だったか知らないみたいだけど」
リアラが真実を語り出した。
「ジューダスに言ったこととシャルティエさんの話を聞いて、ある程度は分かっているのよね?」
「ああ。僕が一番知りたいのは、どうして修正後の未来に僕が存在しているかだ」
「それは、私に残っていた聖女の力を使ったからよ。だけど、その力はとても弱くて、強力な力が必要だったの……」
カイルの記憶が戻ると、聖女の力が残っていることを話した。
そして、2人は力を使って歴史を改変せずにジューダスを生かせれる方法は無いかと考えた。
それが今回のタイムトラベルだった。
リアラはジューダスがリオンとして消滅していないことを知っていた。
だから、聖女の力を使ってジューダスを覚醒させた。
ジューダスを18年前の世界に行かせ、リオンを救うことで、ジューダス自身も生かせれるのではないかと考えた。
だが、そこには問題が生じた。
2人分生かせる程の力が無かったこと。
そして、ジューダスはリオンのみの生存しか願っていなかったこと。
ジューダスを生かすには、ジューダスの生存を望みかつ大きなレンズの力を持ったものが必要だった。
それが、ソーディアン・シャルティエだったのだ。
シャルティエがジューダスのことを思い出し、全てを知れば、最終的にジューダスの生存を願うと思った。
いや、確信していた。
それがあの最期の時を思い出せば、想像は付いた。
だから、力をシャルティエに注いだ。
まず記憶を蘇らせ、微かだがジューダスを生存させるきっかけとなる力を託した。
それからは全てが賭けだった。
聖女の力を失ったリアラは、状況を確認することは不可能だった。
だから、いつジューダスが帰還するかは分からなかったし、帰ってくるかどうかも謎だったのだ。
だが、リアラとカイルの読みは正しかった。
シャルティエの思いは、2人と同じだった。
そして、今こうしてジューダスは修正された未来にいるのだ。
そしてもう一つ。
シャルティエはただジューダスの生存をねがったのではなかった。
『ジューダスを知るリオン坊ちゃん達がいる世界に、ジューダスも生きて欲しい』
と。
「これが、シャルティエさんの最期の願いよ。ジューダスに知られれば、絶対に阻止されると思ったのよ」
「確かに、そうだな。僕は元々消えるつもりでいたのだからな」
「でも、本当に良かったよ!じゃあ、皆がジューダスの帰りを待ってるから行こうよ!!」
カイルがジューダスを立ち上がらせ、スタンたちが待っている孤児院へと向かった。
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