長編
□願うならば……29
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金髪の青年とピンクの服の少女が、辺りをキョロキョロしながら何かを探していた。
「ねぇ、本当にこっちの方であってるのリアラ?」
「多分!!あっ、ほらあそこにいたわカイル!!」
カイルとリアラはお目当ての人物を草原のど真ん中で発見した。
「えっ、この人なの?!」
「そうよ。16歳のままの姿はさすがにまずいし、かと言ってあの人と同じもダメだと思って」
「へぇ〜でも、この姿すごい似合うね、ジューダス!!」
カイルとリアラが探していた人物こそ、ジューダスだった。
その姿は、リオンを救うために奮闘していた時の銀髪の青年の姿のままだった。
あの時は年齢が分からなかったが、16歳からさらに18年の月日は経った年齢である。
「カイル、ジューダスを起こして!!」
「すぅ……………ジューダ─────ス!!」
全てが終わった。
あれから僕は、どうなったのだろうか?
平衡感覚がなく、五感全てに何も感じない。
やはり、時空の彼方を彷徨っているのだろうか?
それでもいいと思った。
ただ一つ気になるのは、シャルティエの願いとは一体何だったのだろうか?
僕がこうして時空の彼方を彷徨っているあたり、失敗に終わったのだろう。
そう確信し始めた頃だった。
突如、先程までの浮遊感が消えた。
そして、驚くほど大きなけれど懐かしい声で呼ばれて、僕は覚醒した。
「!!」
「あっ、目が覚めた?ジューダス?」
最初に飛び込んできたのは、あいつを思わせるほどの金髪と無邪気な笑顔だった。
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