長編
□願うならば……28
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ダイクロフトに残されたのは、ジューダスとソーディアンメンバーだけとなった。
『これからどうするつもりだ?我らをいつまでこうしておく?』
全てを見届けたソーディアンからすれば、後は神の目を破壊するだけだった。
「もうすぐ、僕の力も消滅する」
それは詳しく語らなくとも、ジューダスを見れば一目瞭然だった。
ジューダスの足首から下が消えていた。
それはじわじわと上へと登って行き、ジューダスの体を侵食し始めていた。
「そう長くは持たないだろう。今のうちだ。僕に聞きたい事はあるか、ディムロス?」
『いや、特にない。我らもあれだけで十分だ。それより、シャルティエが先程から何かを言いたそうにしているがな』
『僕ですか?!別に何もありませんよ、ただビックリはしましたけど』
『そうかしら。こうして皆で神の目に刺さっているから分かるわ。あなたが彼に何かをかくしていることが』
『そうだぞ、シャルティエ。この際だ、全て話してしまうべきだ』
いつになってもソーディアンメンバーに攻め立てられるのは変わらないと思い、しぶしぶシャルティエは話し始めた。
『僕はジューダス………いえ、坊ちゃんに謝らなければいけません』
「どういうことだ?それに無理して、坊ちゃんと言わなくてもいいんだぞ?この時代のマスターは、リオンだけだからな」
ジューダスの言い分は尤もだが、シャルティエはそれを否定した。
『違います。確かに、この時代のマスターはリオン坊ちゃんです。ですが、僕の記憶の中にはジューダスも僕のマスターとなっています』
不可思議な発言にジューダスはもちろんのことディムロスも困惑した。
『何を言い出すんだ、シャルティエ。一度に2人のマスターなどありえん』
『もう!ディムロスは黙ってて下さい!坊ちゃんにも僕たちにも時間が残されていないんです!だから、手っ取り早く話します』
シャルティエの普段見せない焦りを感じ取り、ジューダスは静かにシャルティエの話に耳を傾けた。
それは、ディムロスたちも同様である。