長編

□願うならば……27
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「ちょっと、どういうことよ!?」


「何故、その名を知っている?!」


2人がそれぞれジューダスに疑問を投げかける。


だが、ジューダスはそのどれにも応えなかった。


「少し、話をしようか」


『そんな長いを話をしている余裕などない!!貴様の正体を早く言え!!』


「ディムロス、そう慌てるな。気がついていないのか?今、神の目の状態はどうなっている?」


ジューダスの発言にソーディアン全員が、神の目の方に集中した。


『これは……』

『どういうこと?』


『何故、神の目の力が止まっている?!』


そう、神の目の力が止まっているのだ。


「正確には、ここの時間軸を少し止めてある。それも含めて、全てを話そう。僕には時間が無いからな」


『「!!」』


ジューダスの体が、薄く透けたのを全員見逃さなかった。



「簡単に言えば、僕はタイムトラベルをしてここにいる。そう考えれば、話はついてこられるだろう」


ジューダスは語り出した。


自分が一度はリオンとして生き、スタンたちと戦って、濁流に呑まれて死んだこと。


それから18年後の未来で、ある女に不本意に甦らされたこと。

その後、ある少年と聖女と出会い、再び、世界を救う旅を始めたこと。


未来が改変された世界に飛んだこと。

千年前の世界に行き、ソーディアンメンバーと共に戦ったこと。


歪んだ世界が修復されたが、その聖女も犠牲になったこと。


そして、旅をしたメンバーが元の時間軸に帰っていったこと。


この旅の記憶は、全て無かったことになってしまったこと。


だが、絆だけは消えていないこと。








「そして、僕はリオン・マグナスとして消滅したのではなく、時空の彼方を彷徨っていた」


一通り説明したジューダスは、皆の反応を待った。


「そんなことって実際にあるの?!」


「それに、未来のことを話て何も支障はないのですか?」



「ああ、心配ない。お前たちの未来も、僕が共に旅をした仲間の名も言ってはいない。それに、既に解決したことだ。何故、そこまで話せるか………そして、僕がここに来たことを話そう」



時空の彼方を彷徨っていたジューダスは、強い力によって目覚めたこと。


そして、目の前にあの聖女が現れたこと。


聖女は言った。





「“過去の歴史を改変することなく、リオン・マグナスを生かせる未来”………僕は、半信半疑だった。リオン・マグナスはスタンたちを裏切り、死んだ。それが世の中の歴史だ。リオンが生きるということは、歴史が変わることだと思った」




だが、聖女は否定した。


ヒューゴの手によりダイクロフトが復活し、スタンたちがミクトランを倒す歴史を変えなければ問題ないと。


それさえ守れば、リオンを救うことなら誰を生かしてもいいと。

だが、救えない者もいる。


そして、スタン達に自分の正体を知られてはいけないこと。


歴史が変わってしまうような手出しは、してはいけないということ。


「それが、条件だった」


「だから、私たちが戦っていても手を出さなかったってわけね!」


ルーティの言葉に、ディムロスも納得する。


『これで全て話がつくな。我らの声が聞こえ、シャルティエの力を十分に引き出していたこと。あの無駄のない動き、全てを見透かしていた言動』


「イレーヌさんたちは、その生かせない人たちだったんですか?」


スタンの疑問に肯定する。


「僕もあいつから詳しく聞かされていないから分からないが、恐らくな。推測でしかないが、死に際を見られている者は生かすことは無理だろう」


「なら、リオンはどうなるのよ!?」


「確かに、リオンは死んだ。だが、お前たちの誰もその目ではっきりとは死んだ瞬間を見ていないだろう?だから、あのまま生きていたって可笑しく無いんだ。現に、リオンと会うまで生きていると信じていたんだろう、スタン?」


「はい!」


1人を除いては、すべての謎が解けてきたという顔をしていた。


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