長編
□願うならば……27
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全てのソーディアンが神の目に刺さり、スタン達は脱出を図ろうとしたが、ディムロスの声によって阻まれた。
『いい加減、話してもらおうかジューダス?ここまで来て、まだ隠し事をするつもりか?』
スタン達の足が止まる。
ジューダスは神の目の前におり、スタン達はすぐ近くにワープ装置がある場所にいた。
リオンもジューダスが一緒にいるものと思っていたものだから、ジューダスがまだそんな所にいるとは思いもしなかった。
それは、スタンたちも同様だった。
「ジューダスさん!何やってるんですか?!」
ジューダスはスタンの声が聞こえているにも関わらず、敢えてディムロス言葉に応えた。
「話すつもりだったが、あいつらを逃がしてソーディアンにだけ話ても良かったんだ。だが、リオンと約束したしな。………リオン、それにスタン!!それ以上近づくことは許さない!」
ジューダスのもとに駆け寄ろうとしたスタンとリオンは、見えない力に阻まれた。
そこに透明の壁が存在するかのように、ジューダスたちは見えるのに向こう側へと行けなかった。
ソーディアンが手元に無い2人は、それをどうすることも出来なかった。
「ジューダス!何のつもりだ」
「僕は、お前たちとはそれ以上一緒には行けない」
「どういうことですか!?」
2人がそれ以上来れないことを察知したソーディアンは、それぞがジューダスに聞きたいことがあるようにコアクリスタルを光らす。
「何故、僕にそんな力があるのか?って、聞きたいのだろう?」
『………そうだ。貴様は何者だ?』
「何者でもないさ。ただ言えることは、この世界の時間軸には存在しない」
「ディムロス!何を話しているんだ!?」
上手く2人の会話が聞き取れていないスタン達。
『あいつらには聞こえていないのか?』
「聞こえるようにするまでさ。スタン、これで聞こえるか?」
「えっ?あ、はい!」
何をしたわけでもなく、突如聞こえだした2人の会話。
「リオン、約束だったな。お前の知りたかったことを話そう。何から知りたい?」
「…………何故、僕と同じ剣筋なんだ?」
「それは僕が、リオン、お前だからだ」
「この期に及んでふざけるな!!」
「ふざけていないさ。話すより、見た方が早いか?」
そういうとジューダスの体が光だした。
光の中から現れたのは、カイルたちと旅をしていた頃のジューダスの姿だった。
「リオンが、もう一人?」
「他人の空似にしては似過ぎよ!?」
「姿だけで信用してくれとは言わない。僕は、リオン・マグナスであり、エミリオ・カトレットであり、ジューダスでもある」
「何で、その名前を………」
マリアンしか知らないはずの名が、ジューダスの口からこぼれた。
そして、自分と同じ“カトレット”の名を聞いたルーティも驚愕していた。
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