長編
□願うならば……24
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辺り霧で覆われた暗い道を歩いていた。
だが、ジューダスやフィンレイがいなくなって気が抜けたのか、足がぐらつきその場に倒れてしまった。
「っ!?」
『坊ちゃん!!やっぱり、無理してたんですね!!どうして、そこまでするんですか?!』
シャルティエを支えにし、上半身だけを起こした。
「僕は………ジューダスによって、生かされた。あの時は、シャルの話を聞かず、僕の我儘を貫き通した。あの選択には、後悔していない」
『それは僕も同じです』
「それは今でも変わらない。あの時、僕の我儘に付き合ってくれたシャルには、本当に感謝をしているんだ」
『坊ちゃん!!』
「不思議なことに、再びこうしてシャルを握って、地に足を着けている。だから思うんだ、全てを失った今、僕のするべきことは、少しでも償いをすることなんだと」
『償い、ですか?』
「そうだ。僕のせいで、家を家族を兄弟を失った人たちが大勢いるかもしれない。恨まれても憎まれてもいい。僕は、その人たちに少しでも償いをしたいんだ。それから、もう一度スタンに会って、お礼を言いたい。今度ははっきりと」
リオンが少し間を開ける。
「………だから、この試練を乗り越えなければならないんだ!この身が動かなくなっても、だっ!!」
リオンが勢いで立ち上がると、シャルティエを構える。
「ソーディアン・シャルティエはどうすのかな?」
前方にオリジナルのシャルティエが現れる。
「立っているのもやっとなマスターに、この試練の勝ち目はないことは分かっていただろう?」
『そんなこと分かるものか!!坊ちゃんは、幾度となく困難を乗り越えてきた!だから、今回も坊ちゃんは乗り越えられる!!そのために、僕は全力で坊ちゃんに力を捧げるよ!!』
それはシャルティエの本気の覚悟だった。
「………シャル!僕たちは、いつも2人で1つなんだ。だから、今回もシャルと一緒に乗り越える!!」
リオンの強い覚悟がソーディアン越しからでも伝わる。
2人の覚悟は本物であり、揺るぎないものだった。
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