長編
□願うならば……21
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久々に見た大地は部分的に削り取られ、空は外郭大地に覆われ、光を失っていた。
「…………ぁっ、ぁ、ぁ」
リオンは惨劇を目の当たりにし、驚愕して見開かれた瞳いっぱいに涙を浮かべていた。
「自分を責めるな、リオン。お前は何も悪くない!」
「ごめ………ごめ……なさ、い……ごめ……なさいっ」
リオンはただ謝り続けていた。
「………リオンっ」
フィンレイが震える体を強く抱きしめた。
リオンがダイクロフトの一部であるベルクラントをどことなく視界に入れた時だった。
――――リオン
「………ヒュー、ゴ?」
リオンの耳いや頭に語り掛けてきた声は、聞き覚えのあるヒューゴの声。
それは、今まで一度も聞いたことが無かった温かい声だった。
―――リオン、いやエミリオ。
「…………っ!?」
――――すまなかった、今まで。父を恨んでくれてもいい。憎んでいてもいい。
私の望みは、エミリオが生きてくれることだけだ。ルーティと共に
「………ヒュー……父上っ」
愛しているよ、エミリオ――――
ヒューゴの言葉が消えた同時に、ベルクラントが切り離され、海に大きな水飛沫をあげながら沈んでいった。
「………ぁっ、ヒューゴ!」
リオンの瞳からは、溜まっていた涙が堰を切ったかの様に溢れだした。
「………リオン」
「フィンレイ様、僕はこれからどうすればいいんですか?」
「リオンが想うように生きればいい。これからはリオンは自由だ。もう一度やり直すのもいいだろう。リオンが選んだ道なら、私も一緒に付いていこう。だが、その前に」
穏やかな口調から一転して、厳しい口調になったフィンレイをリオンは怪訝そうに見た。
「やるべきことがある。
…………………そうだろ、ジューダス」
「…………っ!?」
フィンレイがリオンを抱えたまま、ゆっくりと振り返る。
そこには、静かに立ち尽くすジューダスの姿があった。
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