長編

□願うならば……21
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死を選んだリオンにとって今の現状を受け入れがたいことをフィンレイは痛い程に察していた。


今にも泣きそうな少年をフィンレイは抱き締めて、安心させたかった。


だから、リオンの今の言葉にフィンレイは迷わず返答した。


「リオン………それは、私も含め皆がリオンを愛しているからだ」


「……………っ!?」


リオンが顔を上げると、優しい瞳があった。


「……フィン……レイさ………っ?!」


急に地響きがして、大地が大きく揺れる。


「ぅっ、………あっ、っ!?」


「リオン!!」


傷が完治していないリオンの体には、大地が揺れた時の振動はあまりにも刺激が大きかった。


「一体何が?」


「外郭大地の形成だ。外を見てみるんだ」


窓から僅かに差し込まれていた一筋の光が、徐々に小さくなり、そして消えた。


大地は闇に包まれたのだった。


「………外に、出たい」

「無理だ。こんな体で動けるはずがない!!」


リオンはフィンレイの反対を押切、動かない体に鞭をうち無理にでも立ち上がろうとする。


リオンの体中には、想像しがたい程の激痛が走っているはずなのに、リオンはその痛みに耐えていた。


痛々しいリオンの姿にいてもたってもいられず、フィンレイはリオンを抱き上げた。


「…………っ、フィンレイ様?」


「この方が、体への負担は少ないだろ。状況を確認したら、大人しくベッドに戻ることを約束してくれるか?」


リオンは小さく頷いた。


フィンレイはリオンを横抱き(俗に言う、お姫様抱っこ)にして、小屋を出た。



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