長編

□願うならば……21
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あれから気が付けば、地上に降りていた。


不思議なことにイクシフォスラーも帰還していた。


ジューダスが空を見上げれば、地上は完全に外郭大地で光が遮断されてしまっていた。


「…………千年前と変わらない、か」


一度千年前に行ったジューダスにしてみれば初めて見る光景ではなかった。


ジューダスはイクシフォスラーに乗り込み、リオンやフィンレイがいる小屋へと向かった。















時は数時間前に遡る。



ジューダスが外郭大地へと向かってしばらくのことだった。


「…………んぅ」


リオンが意識を取り戻したのだった。


「ここは?」


「リオン?!」


「…………?!」



体は動かないため、首だけでここにいるはずのない人物を探した。


するとすぐ目の前に青い影が落ちた。


その人に憧れて、稽古をつけてもらって、必死に後を追っていた。


そして、その人の命を奪ってしまったのもまた事実。


確かに目の前で、命を奪ってしまった。


なのに、今現に目の前にいる人物はその人そのもの。



「…………あの世?」




自分も濁流に呑まれて死んだ身としたら、目の前にいても不思議ではないと思ってしまっているリオン。



「違う。私もお前も生きているのだ。その証拠に、体を動かして、私を触ってみろ」


言われるままに体を動かそうとするが、思ったようには動いてくれない。


「…………っ、あ……いっ」


激痛が体中を突き抜ける。


そして、何とか差し出された手に触れることが出来た。


体温を感じる。



「どうし、て?」


「ジューダスだ。彼が、私もリオンも救ってくれたんだ」



フィンレイは事の経緯をリオンに話した。


そして、今起こっていること全ても。


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