長編
□願うならば……20
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マリアンがポットの乗る前に、再びお礼を言って、少ししてからスタンに訪ねたのだった。
「あなたがスタンさんですか?」
「そうです」
「リオン様からよくお話を伺っていました。よほど仲がよろしかったのですね」
「………ええ。あいつは俺の、親友ですから」
「…………っ!?」
スタンの言葉にジューダスは自分でも気付かぬうちに、一筋の涙を流していた。
「スタン………お前というやつは」
ジューダスは顔を押さえながらも、口元には笑みがあった。
マリアンが地上に戻り、スタンたちは浮遊クルーザーに乗り込んでいった。
『ジューダスさん、どうしたんですか?』
「いや、すまない。リオンとあいつらの関係を見ていたら、昔を思い出していた」
『そうですか……。それより、僕たちもベルクラントに乗り込みましょう!』
「そうだな。イクシフォスラーまで戻るぞ」
ジューダスは立ち上がって、マリアンが乗ったポットがあった場所を見た。
「…………ありがとう、マリアン」
その言葉は、ジューダスにとって過去と決別するものだった。
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