長編

□願うならば……20
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自ら助けることの出来なかったマリアンをスタンが救い出してくれたことに、ジューダスは心から安堵した。


「………良かった、生きていたのか。ありがとう、スタン」


ジュ―ダスは感謝しきれないほどの思いが胸の中を占めていた。



『……………』


それを黙って見ていたシャルティエは、敢えて何も言わなかった。



ジューダスはスタンとルーティ、マリアンとの会話を聞いていた。



「あのエミ……リオン様は?」


「その、リオンは………」



はっきり何も言わないスタン。


スタンがマリアンを気遣っているのが、ジューダスにも分かった。


「……………スタン」



「……リオンは、別にやることがあって、今は一緒じゃないんです」


マリアンが歯切れの悪い返答をした。



「……リオン様は私のせいで、道を誤ったりしなかったでしょうか?あの方は、亡くなられたお母様の面影を私に見出していらっしゃいました」


マリアンの思わぬ言葉に、ジューダスは自分に言われている様に思えて動揺していた。


さらにマリアンの言葉が続く。


「私はあの方の弱点になりかねない。私のせいであの方が迷ったりしないか。それが心配でなりませんでした」


マリアンの言葉一つ一つがジューダスの胸の内を刺激していた。


「先に自らの命を絶つべきではないか、そう思った事さえ………」


「!!………マリアン」


「リオンのやったことに間違いはありません。あいつはあなたを思い、俺達を思い、正しい行動を、取りました」


スタンの言葉に、ルーティも続いた。


「だから死ぬなんて言わないで。………あいつの為にも」



ルーティとスタンの言葉にジューダスはその場に座り込み、俯いていた。


聞けることの無かったマリアンの本音やスタンたちの気持ち。


ジューダス改めて、リオンを生かしていて良かったと思った。


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