長編

□願うならば……19
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スタン達に見つからずにやり過ごしたジューダスは、隣室に向かった。


隣室の中央には大きな装置があった。


その装置は、1000年前・天地戦争時代に飛ばされた時、ハロルドが使用していた装置と類似しているので、ジューダスは何とか操作出来そうだと思った。


あの時ハロルドがどのようにしていたかを、頭の片隅から思いだしていた。


シャルティエを装置の中央に置き、パネルを操作してスイッチを入れた。



『ぐぅ、わああああああああああっ!?』



装置を起動させた突如、シャルティエの悲鳴が響き渡る。


装置が止まると同時に、シャルティエの悲鳴も止まった。


「だ、大丈夫か、シャル?」


『んもぅ!!急にするなんて酷いじゃないですか!!レンズが破損したらどうするんですか?!』


「す、まない。だが、どうやら直ったようだな」


『お陰さまで』


少し拗ねたシャルティエにジューダスは苦笑した。


「状況は理解しているか?」


『はい。会話や唱術などは一切使えませんでしたが、ソーディアンとしての最低限の機能は何とか破損せずにすんでいたので、全て見させて頂きました』


「なら、話は速い」


『あの、坊ちゃんを助けて頂いてありがとうございます!』


「リオンを死なせたくなかったからな。それより、スタン達はミックハイルに行くらしい。行き方は分かるか?」


『はい。千年前と何も変わっていないので、僕が案内します』


「よし、なら行くぞ。それから、しばらくお前を使わせてくれないか?」


『それは構いませんが、使い方は知っていますか?』



シャルティエのマスターは未だにリオンではあるが、リオンであったジューダスにしてみれば、問題などなかった。


「ああ、大丈夫だ。さあ行くぞ、シャル」



鞘にシャルティエを納め、腰にぶら下げる。


その感触が、二度の人生を歩んだ時と何も変わらないことに懐かしさを感じたのだった。



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