長編
□願うならば……17
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振りほどいた張本人を見たら、そこには驚くほど穏やかな笑みをしていた。
「ありがとう。好きだった、ジューダスのことが」
突然の告白。
「…………さよなら」
いい終わるが早いか、はたまた同時か、ジューダスの目の前で濁流の渦にリオンが飲み込まれた。
「!?………の、バカがっ!」
ジューダスがリオンの後を追うため、自ら濁流の渦に飛び込んだ。
水流の流れに任せる中、何とか目をこじ開け、リオンを探す。
ある程度流された辺りで、ピンクのマントが見えた。
そこにまだリオンがいることを信じ、なんとか剣を鞘から引き抜くと近くの岩に深々と突き刺した。
それを起点にマントが見え隠れする岩の向こうを覗き見た。
そこには、右足が岩と岩の間に挟まり、頭から血を流しているリオンの姿があった。
(………リオンっ!?)
ジューダスは何とかリオンの腕を捕らえると、自らリオンに抱きつく形となり、もう一本の剣をマント越しから突き刺した。
リオンの体を抱き抱え、岩の間から足を引きずりだす。
(…………気のせいか?)
ジューダスはリオンの瞼が一瞬開いたかと思ったが、変わってはいなかった。
リオンをしったかり抱えなおすと、白い光に包まれた。
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