長編
□願うならば……15
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リオンは振りほどこうと藻掻くも、力の差は歴然である。
「リオンはさ、ジューダスさんのこと好きなの?」
「なっ、僕は男だぞ?!」
「俺は関係ないよ、そんなこと。だって、俺はリオンが好きだから」
「えっ………?!」
スタンの顔が近づいたと思ったら、唇に何かが触れた。
キスをされたと気付くまで少しの時間を要した。
「な、なななな何をっ?!」
あまりにも動揺しているリオンを見て、スタンは可笑しくなり笑い始めた。
「な、何が可笑しいんだ!?」
「ごめんってば!いや、反応があまりにも初々しくて………ははは」
「僕をからかったのか!?」
リオンがスタンの両頬を容赦なく引っ張る。
「ひぃたいよ 〜………もう、冗談で俺がこんなことするわけないだろ」
「何故、笑った!?」
「てっきり、ジューダスさんとしてると思ってたからさ。だって、ジューダスさん絶対にリオンのこと狙ってたもん!!」
「んなっ!?」
スタンの発言に驚いてばかりいるリオン。
リオンは口をパクパクしながら、スタンを凝視していた。
スタンはというと、リオンを抱きしめたんまま、さらに発言していく。
「それに、リオン満更じゃなさそうな顔してるしさ〜俺勝ち目無いなって思ってたんだけどさ、俺の勘違いで良かったよ!!」
太陽のような笑顔をむけてこられて、返答に困ってしまうリオン。
「俺、まだまだ力不足だし、それに体を張ってでしかリオンを守れないからさ、もっと強くなる!!強くなって、リオンの前に戻って来るからさ、それまで待っててくれないか?」
リオンを放して、正面から真剣な眼差しで言う。
「ジューダスさんには敵わないけど、それでも、俺を選んで欲しいんだ」
「…………僕は」
「急に答えを出す必要はないからさ!だから、待ってて欲しい。どれくらいかかるかはわからないけど……」
「………僕を待たせるなんていい度胸だな。でも、それが本当なら少しぐらい、待ってやってもいい」
恥ずかしさからか、リオンの顔が朱に染まる。
「リオン!!」
「ただし!僕が心変わりしたら知らんからな!」
「分かった。俺いくらリオンが心変わりしていたとしても、もう一度振り向かすから!覚悟しといてくれよな」
「…………せいぜい努力するんだな」
リオンが微かに微笑んだ。
初めて見たリオンの笑みに、スタンは“綺麗だ”と思った。
「スタン殿!飛行竜準備が整いました」
「分かりました。………それじゃ、リオン。元気でな」
「ああ」
2人だけの約束を交わして、いつか出会うその日までの別れを告げた。
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