長編

□願うならば……15
2ページ/4ページ



リオンは振りほどこうと藻掻くも、力の差は歴然である。


「リオンはさ、ジューダスさんのこと好きなの?」


「なっ、僕は男だぞ?!」


「俺は関係ないよ、そんなこと。だって、俺はリオンが好きだから」


「えっ………?!」


スタンの顔が近づいたと思ったら、唇に何かが触れた。


キスをされたと気付くまで少しの時間を要した。



「な、なななな何をっ?!」


あまりにも動揺しているリオンを見て、スタンは可笑しくなり笑い始めた。


「な、何が可笑しいんだ!?」


「ごめんってば!いや、反応があまりにも初々しくて………ははは」


「僕をからかったのか!?」


リオンがスタンの両頬を容赦なく引っ張る。


「ひぃたいよ 〜………もう、冗談で俺がこんなことするわけないだろ」


「何故、笑った!?」


「てっきり、ジューダスさんとしてると思ってたからさ。だって、ジューダスさん絶対にリオンのこと狙ってたもん!!」


「んなっ!?」


スタンの発言に驚いてばかりいるリオン。


リオンは口をパクパクしながら、スタンを凝視していた。


スタンはというと、リオンを抱きしめたんまま、さらに発言していく。


「それに、リオン満更じゃなさそうな顔してるしさ〜俺勝ち目無いなって思ってたんだけどさ、俺の勘違いで良かったよ!!」


太陽のような笑顔をむけてこられて、返答に困ってしまうリオン。


「俺、まだまだ力不足だし、それに体を張ってでしかリオンを守れないからさ、もっと強くなる!!強くなって、リオンの前に戻って来るからさ、それまで待っててくれないか?」


リオンを放して、正面から真剣な眼差しで言う。


「ジューダスさんには敵わないけど、それでも、俺を選んで欲しいんだ」



「…………僕は」


「急に答えを出す必要はないからさ!だから、待ってて欲しい。どれくらいかかるかはわからないけど……」


「………僕を待たせるなんていい度胸だな。でも、それが本当なら少しぐらい、待ってやってもいい」


恥ずかしさからか、リオンの顔が朱に染まる。



「リオン!!」


「ただし!僕が心変わりしたら知らんからな!」


「分かった。俺いくらリオンが心変わりしていたとしても、もう一度振り向かすから!覚悟しといてくれよな」


「…………せいぜい努力するんだな」


リオンが微かに微笑んだ。


初めて見たリオンの笑みに、スタンは“綺麗だ”と思った。



「スタン殿!飛行竜準備が整いました」


「分かりました。………それじゃ、リオン。元気でな」


「ああ」



2人だけの約束を交わして、いつか出会うその日までの別れを告げた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ