長編

□願うならば……15
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グレバムから神の目を奪還し、飛行竜で帰還しているリオンたち。


その中にはもちろんジューダスの存在はない。


『坊っちゃん、大丈夫ですか?』


「………ああ」


リオンは乗り物酔いでベッドの中だった。


「なぁ、シャル」


『どうかしましたか?』


「ジューダスを見たら、頬が熱くなるんだ。マリアンの時に感じるものと少し違うんだ」


『ふふ、それはですね………恋ですよ、坊っちゃん!!』


シャルティエは誇らしげに言った。


「………寝言は寝てから言え、シャル。ジューダスも僕も男だぞ?」


『好きに男も女も関係ないですよ!!僕は坊っちゃんがマリアン以外の人を好きになったのが嬉しいんです』


「でも………僕の側にいると言ったのに、ふらふら消えるあいつなんか……」


リオンは少しジューダスのことを思い出すと、奥歯を噛みしめ俯いてしまった。


『………坊っちゃん』


「……………っう、気持ち悪い」


口を押さえて、吐き気をやり過ごそうとした時、ルーティとスタンが現れたのだった。















セインガルドに着き、国王との話が終わったリオンたちは、街中でこれからの話をしていた。


そして、ウッドロウとフィリアがそれぞれ帰還し、スタンとリオンだけになった。


「なぁ、リオン。まだ、俺のこと認めてくれてないのか?」


「何度も言わせるな。僕はお前のような脳天気で図々しくて馴れ馴れしいやつが大嫌いだ」


相変わらずの言われように、スタンは苦笑する。


「だが、少しは………認めてやってもいい」


素直じゃないリオンは、顔をスタンから反らす。


その際、リオンの耳が赤かったのをスタンは見逃さなかった。


「リオン!じゃあ、はい」


スタンは手を差し出す。


「何だその手は」

「何だその手は」

「貴様、僕を馬鹿にしてるのか!?」

「馬鹿にしてないよ!認めてくれたなら、握手ぐらいしてくれよ〜」

「………ふん」


リオンはスタンの手を握った。


「…………っ?!」


スタンがそのままリオンを引き寄せ腕の中に閉じ込めた。


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