長編

□願うならば……14
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グレバムを追って遂に、極寒の王都・ハイデルベルグまでやってきた。


ハイデルベルグは既にグレバムの手に墜ち、王・イザークは殺され、代々所有されていたソーディアン・イクティノスまでもがグレバムに渡った。


何とか逃げ延びた皇子・ウッドロウとチェルシーを助け、今は、ハイデルベルグの地下にいた。


「リオン……私はダリスを止めたい」


今まで記憶を無くしていたマリーが、この地に訪れダリスとの再会を果たし、記憶を取り戻していた。


ダリスは義勇軍の隊長で、グレバムの参謀でもある。

「私はダリスは何か理由があって、ああしていると思うんだ!だから………」


「私からもお願いするわ!ダメって言っても、マリーをダリスに会わすからね」

ルーティがマリーを庇う。


「僕はまだ何も言っていないだろ……。マリー、好きにしろ。王には、1名負傷したから置いてきたと報告してやる」

「!!ありがとう、リオン」


マリーは嬉しそうにはにかむ。


リオンはマリーを視界の端においやると、メンバーから離れた。


離れていった場所は、ジューダスの横だった。


それを見ていたウッドロウはやはり同じような反応をするわけで……。


それを毎回丁寧にスタンが説明するのであった。



「どうかしたか、リオン?」


側に来たリオンを優しく迎えるジューダス。


「な、何でもない………ただ、お前といる方が落ち着く……から///」


「そうか。でも、僕といるより歳の近いスタンたちといる方が楽しいだろ?」


「…………っ」


リオンは悲しそうな瞳をするとジューダスから離れていく。


「リオン?」


リオンは言葉も発さずに去る。


それを見ていたウッドロウがジューダスの元へ近寄る。


「君は何故敢えて突き放すようなことをする?」

「リオンは僕なんかといてはいけない。僕にはそんな資格がない」

「ふむ………何か事情があるみたいだね。それなら仕方あるまい」


それっきり2人は会話をすることは無かった。


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