長編
□願うならば……10
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闘技場から場所を変えたスタン達。
その時、ちょうどイレーヌもいた。
スタンと戦っていた男・コングマンも街を襲ってきたモンスターを倒すべく、戦闘に参加した。
それもやはりグレバムの仕業であり、グレバムがいるであろう武装船が現れた。
「イレーヌ、船を貸してくれ」
「ええ、すぐ用意するわ」
「俺様もあの船に乗り込まさせてもらうぜ」
リオンはコングマンに頷くと、前方に見える武装船団を見据える。
「スタン、準備はいいか?」
「ああ。一気に片付ける!」
スタンの意気込みに頷いたリオンは、船の準備が整う前にジューダスの元へ近寄った。
「もちろん、ジューダスも行くだろ?」
「僕は、ここに残る。リオン達が不在の隙を狙って街を襲われると厄介だからな。僕は、ここで敵を引きつけておく」
ジューダスの申し出にリオンはあまり良い顔をしなかった。
「また……か。肝心な時に、いつもいないな」
「そんな顔をするな。元々僕は、ただの助っ人としているんだ。それに、僕がいたらあいつらのためにもならないだろ?」
ジューダスの尤もな意見に押し黙ることしか出来ない。
「まだまだスタン達といたら、知らないことが学べると僕は思うぞ」
「どうしてそう思うんだ?」
「僕もそうだったからさ」
「スタンとは初対面じゃなかったのか?」
「似たようなものだ。僕はすでに大事なものを手に入れた。二度も。それを僕は、リオンに教えたいんだ」
意味深なジューダスの言葉にリオンはただただ困惑した。
「お〜い、リオンっ!!準備が整ったぞ!!」
スタンが遠くからリオンを呼ぶ。
「ほら、行って来い。あいつらにはまだリオンの指揮がないと上手く立ち回れない。当てにされているんだ。リオンなら大丈夫だ」
「ふん。当たり前だ。僕がいないとあいつらは何も出来ないからな。…………勝手に消えたら許さないからな」
リオンはぼそり言うと、踵を返すとそのまま二言、三言話、船に乗り込んだ。
そして、船は武装船団の中を縫って行き、一番大きい武装船に向かった。
それを見送ったジューダスは、その場から離れていった。
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