短編
□出逢い
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満月の強い月光に奇跡は起きた。望んでいたことが実現した。だがそれは、彼にとっては時期が遅かった。
任務から帰還した日の夜、大きな満月がリオンの部屋を照らしだす。
リオンは既に就寝しており、シャルティエは未だにあの事を悔いて、謝罪していた。
『ごめんなさい。ソーディアンは特別でも何でもない。主を……大好きな人を守れないのだから、ただの剣にすぎない。ごめんね、坊ちゃん。助けを求められても、助けてあげられなくて。実体があれば…………』
その時だった。
一筋の淡い光が、コアクリスタルに照射された。
痛みを感じるのでもなく、暖かいわけでもなく、普通に照射されただけだった。
『………?』
シャルティエは訳が分からなかった。
しかし、違和感は感じていた。
リオンを何故か見下ろしていること。
目の前に、ソーディアンがあること。
何故か、影があること。
恐る恐る備え付けの鏡を覗いて見た。
『………えっ、嘘』
鏡の向こう側に映っていたのは、紛れもなく、千年前の自分自身。
状況をしっかり把握出来たわけではないが、シャルティエは無意識にソーディアンの柄を握ると部屋を飛び出した。