長編
□願うならば……7
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ジューダスはリオンに連れられて、宿屋へと向かう。
「おっ、リオンおかえり〜」
戻ってきたリオンに笑顔でスタンが出迎えた。
「ちょっと、後ろの人誰よ!」
ルーティがすかさずジューダスの事を言う。
「僕の知り合いで、ジューダスという。これからこの任務に参加してもらう」
「初めまして、俺、スタン・エルロンって言います」
スタンは自己紹介し、手を差し出す。
その光景が懐かしく、あの時は素直に差し出せなかった手も今ではすんなり出てしまう。
「よろしく、僕はジューダスだ」
「こっちは………」
「知っている、マリー……それにルーティだろ?」
この時代のスタン達にこうして再開出来たことに思わず泣きそうになってしまうジューダスだが、それを悟られないよう必死で顔を繕う。
「あんた、リオンのような喋り方するのね?」
「まぁ、リオンが幼少の頃に少し面識があるからな。どっちかというと、リオンが僕の喋り方を真似しているんだろ」
「なっ………?!僕は、お前と会う前からこんな話し方だ!!」
ジューダスはむきになるリオンをからかい半分にいなしていた。
それを見ていたスタンとルーティは愕然としていた。
「ちょっと、スタン!!あのリオンが遊ばれてるわよ!?」
「え、あ、うん。ジューダスさんって何者なんだろう?」
「でも、まっ、これでリオンも大人しくなるってもんね」
ルーティはリオンの小言から解放されると思った。
一方スタンは、リオンの違った一面を見れたことに嬉しくなりつつも、あんなに親密な2人の関係に少しの嫉妬を覚えていた。
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