短編
□兄の苦難
3ページ/19ページ
「リオン君、これ受け取って!」
「私が先よ!」
「もう〜押さないでよ!!」
「おい、リオン!これ食べろよ!」
「女子どもあっちに行けよ!!」
「リオン今日も可愛いな!!」
ありとあらゆる生徒に囲まれ、身動きがとれないリオン。
男子も女子も我先にとリオンに向かう。
次第エスカレートしていき・・・
「…………ひゃっ?!」
いきなりお尻を撫でられたリオンは、思わず声を上げてしまった。
そんな声を聞き逃すはずもなく、周りの生徒の動きが止まる。
そして、良くリオンを見てみると・・・
もみくちゃにされたおかげで服装は乱れ、軽くうなじと鎖骨が見えている。さらに、いきなりのセクハラに驚き声を上げてしまったことに羞恥を感じ、頬を朱に染め、傍から見れば襲われたように見える。
それに相まって色気を放出中。
皆の視線がそこに集中しまくる。
その視線に耐えれなくなり、さらに頬を染める。
『(可愛いv)』
皆一様にそう思うのだった。
そんな中、一人不機嫌オーラを放ち始めたジューダス。
「……………おい」
その怒りを含む声音が生徒たちに届いたのか、皆の顔がみるみる内に青ざめていく。
「貴様ら、僕のものに手を出すとはいい度胸だな」
「………ジューダス、助かった」
ジューダスの登場に安堵したリオンは、思わずジューダスに微笑んだ。
「…………」
『…………』
「どうした?」
首を傾げるリオン。
それを気に理性という砦が崩壊したのか、生徒たちの中に鼻血を吹いて倒れるものや、失神してしまう者が続出した。
当のジューダスも限界だったのか、リオンの手を勢いよくとり、校舎内に引きずっていったのだった。
.