短編
□兄の苦難
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「はぁ……」
今日何度目かも分からないため息。
朝からずっと止まらない。
ジューダスは剣道の朝練が通常より早く終わったため、今、教室でリオンの登校を待っていた。
その間にも、もう何回、何十回というチョコを渡しに生徒たちが訪れてくる。
受け取る気が無いジューダスの性格を知ってか、生徒たちは問答無用で一言言ってから机の上に置いていくチョコ。
すでに、チョコの山が完成している。
「わ〜さすが、ジューダスだね」
ジューダスの横でカイルが目を輝かせている。
「やるぞ、カイル」
「気持ちは嬉しいけど、俺、ジューダスのじゃないと嫌だ!」
どこの子供か、カイルの発言に頭を悩ませるジューダス。
「そうだった!俺からもあるんだ!!」
「………っ!?」
そう言って取り出したのは、チョコではなくプリンだった。
プリンが好きな双子にとっては、チョコより嬉しいものである。
だが、ジューダスの性格上、素直に受け取ることはできない。
「だから、僕は受け取らないと言っているだろ」
「そう言いながら、本当は欲しいんだろ?遠慮しないでよ、ジューダス!!」
強引に渡されるが、満更ではないジューダスだった。
その時、急に校庭が騒がしくなった。
「なんだか、外が騒がしいね?」
「……………まさかっ!」
ジューダスは顔色を変え、校庭へと急いで向かった。
「やっぱり……」
そこには予想通り、生徒にもみくちゃにされているリオンの姿があった。