長編2

□17章
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それを見たフィンレイは、傷に触らぬようリオンを抱きとめる。



「行くな、リオン。それにそれ以上動けば、死ぬぞ」



「……………もう、いい………死、で……もっ」



「リオン!!諦めるな!私との約束を破るつもりか!」



「……さ、い………ごめ、…な……さい」



「リオン、いつまでそこでそうしてるつもりだ?死にたいならば、好きにすればいいが………その代わり」





「い、や………で、もっ…ちか、らがっ………入ら……なっ」



立っているのもやっとなのだろう。



リオンの足が小刻みに痙攣している。



そして、その場には新しい血溜まりが出来ていく。



「奴の声に耳を貸すな」



「……し、て………はな、してっ……やだっ………ねがっ……っ」




「リオ、ン?」



リオンの拒絶の言葉に、思わずフィンレイの力が一瞬抜けた。



それを見計らって、残っている力で拘束から抜けだし、ミクトランの近くで倒れ込んだ。



それをミクトランが、抱き上げて、勝ち誇った笑みを携え、フィンレイを見下した。




「これが現実だ、愚かな将軍殿。もはや、リオンは私のモノだ。あの金髪のソーディアンマスターにも言うのだな。これ以上、私に関わると、容赦なく殺すと」



「………なっ?!」




「貴様らはリオンによって生かされている事を認識するんだな。………くくく、っはははははは!!」




リオンを抱えたまま、ミクトランは闇の中へと消えていった。



そこには、取り残された兄弟と血の匂いが充満していた。




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