短編
□夢は所詮夢
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「じゃあ、行って来るよリオン」
「あぁ、さっさと行って来い」
「出来るだけ早く戻って来るから!」
「分かったから、早く行け」
バンエルティア号のリオンとスタンに割り当てられた部屋の前で、2人が夫婦のような会話を繰り広げている。
「リオン、好きだよ」
「っ、分かったからさっさと……っ?!」
リオンが全てを言いきる前にスタンは、その唇を塞いだ。
「っ///、……誰かが見ていたらどうするんだ!!」
「俺は別にいいけどな〜」
「僕が良くない!!」
「それに、バレたらリオンは俺のものだって証明出来るだろ!」
「もう、分かったからさっさと行ってしまえっ///」
「うわぁぁっ?!じゃ、じゃあ、行ってきます!」
顔を真っ赤に染めているリオンは可愛くて仕方が無いのだが、照れ隠しからシャルティエを抜かれてしまえば、さすがのスタンもクエストに行かなければならなかった。
スタンは朝からディセンダーとルーティとで採掘の依頼を受けていた。
スタンはリオンとの別れを惜しみながらも2人の待つホールへと向かう。
そんなスタンの姿が見えなくなるまで見送ったリオンは、一つ溜息をついたが、そこには穏やかな笑みが浮かべられていた。
そんな2人のやりとりを終始柱の陰から見ていた人物が1人いたことに、リオンは気付いていなかった。
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