Sortilego&Diva


□一章
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運命という言葉を、人はどこまで信じるだろうか?
戯言だと、信じるに値しないと言う者もいるはず。
しかし、それが本当にあるならば人はそれぞれの行く末さえ決まっていることになる。
これはそんな言葉に引き寄せられるように出会った者達の物語である。







   ―Sortilego&Diva―
  〜運命という名の絆〜



何てことのない日々、それが日常でありそれが必然たるもの。
辺りを彷徨う風が木枯しを舞い上がらせながら寒気を呼び、日差しの暖かさに癒されるそんな季節の午後、人々は夏服から転じて少し暖かな格好に様変わりする。
ここはとある駅前広場、そこにはスーツに身を包みきりっとした男性や、スカートを穿いて友達と歩きながら話す女性、また持ち前の毛皮で厚着していない獣人など様々な種族がいる。
そんな中で、その広場のベンチに深々と腰を掛け、口に加えた煙草を吹かしながら誰かを待つ者がいる。
全身に黒の鱗を纏い、黒い長袖シャツを一枚とジーンズにスニーカーとラフな姿をして、頭頂部には白い一本角を携えた龍人だ。

「――ったく、自分から呼び出しておいて遅刻かよ‥‥舐められてるな確実に…」
「翔爛くーん!お待たせ〜!」
「……」
「んっ、どうかしたのダーリン?」
「まずキモイ、それから遅い、それからもう少しすまなそうな顔をしろ。」
「……ニャオン?」
「ごまかすなぁ!つうかまず謝らんかい!!」
「ごめんなさーーい」
「誠意をこめんかい誠意を!!」

愚痴愚痴と文句を洩らしながら誰かを待っているのと、彼の名を元気良く呼ぶ人間男性が一人いた。
爽快な笑顔で近づき、まるで遅刻したことを悪びた様子がないため龍人、天空寺翔爛は青年を怒る。
しかし猫なで声でごまかしたり、棒読みの平謝りで返ってきたためさらに翔爛は激怒した。

「晃太!てめぇはいつもいつもそう人を舐め腐った態度しやがって!」
「やだなぁ、僕なりの翔爛に対してのジョークなのに〜」
「それが人の赤点テストを掲示板に張り出したり、俺の秘密を拡声器で校舎の上から暴露したりするのがどこがジョークだ!」
「いやぁ、あれはうけたなぁ♪翔爛のリアクションがもう見物見物。」
「お前、俺で楽しんでるだろ…?」
「うん♪」
「死にやがれこの馬鹿!」
「やだ。」
「町中でなに暴れてるんだ、お前らは!」
バシィィィィン!!
「ぶほぉっ!?――ってぇぇ〜…」
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