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□日吉の誘惑
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とある日曜日。
日吉と公園で待ち合わせていた。
「ひよしー!!」
大きな声で彼の名を呼んで、思いっきり飛びつく。
彼はう、と小さくうめき、
それでも危ないじゃないですか、と、俺を支えてくれる。
俺はそんな彼の行動が、たまらなく愛おしい。
「持ってきたぜぃ!」
「ありがとうございます。」
日吉に渡したのはつい最近出た人気のテニス中心のスポーツ雑誌。
日吉は自主練で時間がとれず、買い逃したらしい。
なので俺に買ってないか聞かれたのだ。
「ちょっとここで確認させてもらっていいですか?」
「もちろん!!」
ぺらっと、彼の長い指がページを一枚ずつ丁寧にめくる。
真剣な瞳が文面を見据える。
(まつげなげぇ…)
整った顔。時折鋭さを増す瞳に釘付けになる。
(やべぇ…)
キスしたい。
「…なんですか、人の顔じっと見つめ」
ちゅっ
…
…あれ?
(今、俺、何をした?)
日吉に、何した??
我に返って彼の顔を見つめれば、顔を紅潮させている。
はっ、と自分のしたことに気が付いた。
やってしまったんだな。俺。
とたんに恥ずかしくなってかっ、と顔に熱がこもる。
これじゃまるで恋する乙女だ。
「い、いい今のなし!!ごめん!!」
急いで日吉から離れる。
走って家へ、早く、もっと早く走れ、俺!!
(日吉に追いつかれちまう!)
待ってください、とか、今のなしって何ですか、とか、走りながら日吉が叫んでいたけど、ごめん。
それどころじゃない。
(だって日吉は、男、なのに。)
(何でキスしたいとか、思っちゃったんだ?)
(何でこんなに胸が苦しくて、顔が暑くて…)
こんなに、切ないんだろう。
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日吉を意識し始めたがっくんの話。