テイルズ

□バラードの恋人〜ShortStory〜
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それはとある朝の出来事。
ガルバンゾの幼馴染み二人は船内の家事を一任されている少女たちの手伝いをしていた。

「と、これで最後か?」
「みたいだね」

二人が腰を下ろし、一服していると、目の前に水の注がれたグラスが差し出された。スタンの妹、リリスだ。

「お疲れ様」
「本当、ありがとう」

クレアも洗い物をしながら、お礼を述べる。
どういたしまして、と二人は差し出されたグラスに口をつけた。
その瞬間、異変が起きた。
ボフンと煙が舞い、フレンとユーリを包んだのだ。
驚いて悲鳴を上げた少女たち。
それを聞きつけ、駆け込んできた二人の兄や恋人が異変に気づき、その二人も悲鳴を上げることになったのは数秒後のこと。



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アドリビトムの好奇心旺盛なギルドメンバーは、その異変を人目見んと、医務室に集っていた。

「二人とも可愛いです〜」
「ほんと、美形は小さい頃から美形なのね…」

ほう、とため息をつきながら呟くエステルに同意するリタ。
そう、彼女が言うようにフレンとユーリは小さくなってしまっていた。
フレンがユーリを守るように抱き締めたままなため、一つのベッドに寝かせられているのだが、今だ目覚めない。
そんな二人を興味半分、不安半分でメンバーは見つめていた。
と、そこにバタバタと一人の男が駆け込んできた。

「ちょっ!二人が小さくなっちゃったって本当!?」
「レイヴン、うるさい!」

レイヴンそう言われいったん黙ったが、と二人を見るとサアと顔を青くした。そして、メンバーを見渡した。その目には感情が無かった。

「この原因は誰だ」
「それはアタシよ」

いつもと違うレイヴンに怖じけることなく、前に進み出たのはハロルドだった。

「お前か。二人の記憶は?体と同じように退行しているのか?」
「さあ?アタシは自分の薬の作用を知りたかっただもの」

預かり知らぬところだと言う彼女をレイヴンはきつく睨み付けた。

彼らしくないその様子に医務室に集まっていたメンバーに緊張が走る。
その時、フレンが小さく呻いた。ボウとした瞳がエステルたちを写したとたん、見開かれた。

「あ、フレン!大丈夫です?」

エステルが身を案じて手を伸ばした。
だが…



「触るな!!」



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