テイルズ

□Mother〜貴女は私の母でした〜
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――ND2014 キムラスカ

王都バチカルの最上層、バチカル城では、軍の入団式が行われていた。
入団試験に合格した若者達は皆一様に澄んだ目を国王へと向けている。

「入団した名誉ある若人よ!今、その忠誠を王へ示せ!」

高らかなその声に、若者達は一斉に敬礼する。その中から二人、前へ歩み出る者がいた。二人は今回の最優秀成績者だ。
漆黒の髪を軽く結った“彼女”と、金の髪を美しく輝かしている“彼”は試験において、その抜きん出た剣技で他の入団希望者や試験官を愕然とさせた。

そんな彼らは肝も座っているのか、緊張した様子もなく、忠誠の言葉を述べる。
清廉なその姿を見て、息を飲んだ二人の少女と、二匹の鳩を飛ばした一人の軍人。

そんなとき、世界では一匹の子犬が産声をあげ、一人の少年が空を見上げた。
彼の瞳に青空のなかに輝く明星が映った。

美しく強い、新入団者の話は広がり、一年経った今なお、広がり続けている。何故ならば、一年で“彼”は准尉に、そして“彼女”は曹長にまで上り詰めたのだ。速すぎる昇進スピードに同期のものも、上司(元を含む)も彼らを怖れた。
そして“彼女”は今、赤髪に翡翠の瞳(つまり、皇族)の男性を前にお茶を啜っていた。

「まあ、お話はわかりましたけど…」
「では、受けてくれるかね?」

じっと、期待のこもった目で見つめられ、内心溜め息をつく。
現実から逃避してことの経緯を思い出す。



(ええっと…いつもどおり孤児院行って…)


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