テイルズ
□麦わら帽子と光陰
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「「ぎゃあああああああああ!!!!」」
悲鳴を上げたのはウソップとチョッパー。
他のメンバーに比べて、ハプニングに弱いのだ。
そんな二人と、興味津々な目で謎の青年たちを見ている船長を放って、剣を持っている青年たちを警戒し、拘束する他メンバーだった。
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フレンが目を覚ました時、目の前にいたのは愛しい恋人ではなく、麦わら帽子の少年だった。
少年は自分を見ると部屋をでていってしまった。
外から聞こえる声からすると、仲間を呼びに行ったようだ。
ふと、左肩に重みを感じ、そちらを見ると、そこには自分と同じように拘束された恋人の姿。
「ユーリ!起きてユーリ!」
「…んぅ?ふ…れん…?」
寝ぼけてるのも可愛い…じゃなくて!
弛みそうな顔を引き締める。
「あれ?ここどこ?」
「わからない…多分、船の上だろうけど…」
「は!?帝都は海から遠いよな?」
今まで帝都にいた自分たちが何故、海上の船の中にいるのか。
武器を取り上げられ、しっかりと拘束されているのか。
「訳わかんねぇ…」
はぁあ、と深く溜め息をつき、ぐったりとフレンに寄りかかる。
「…やっぱ俺、なんか憑いてんのか?」
そう呟くユーリに苦笑するフレン。
二人に焦りや不安は無いように見える。
それは二人が一緒だからだろう。
なんとかなる。
そんな自信が二人にはあった。
だからだろう。部屋の扉が開かれようと、動じることは無かった。
――大丈夫。二人ならなんとか出来る…
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「あいつ、起きたぞ!!」
ルフィの声を聞いて、船員たちは先ほどの二人を拘束した部屋へ向かった。
中に入ると金髪の青年がその蒼眼を此方に向けた。
ナミが問う。
「あなたたちは何者?」
「…それより、ここは何処であなたたちは何者かを聞きたいのですが」
そう答えた金髪の青年に寄りかかっていた、黒髪の青年が顔をあげた。
「俺たち…いや、こいつを知らないってことは反騎士団の奴らじゃねぇな」
「騎士団?」
訝る様子を見せる麦わら一味。
「この船はサウザントサニー号」
俺の自信作だ!と胸をはるフランキー。それを叩いてウソップが叫ぶ。
「バカかぁ!敵かも知れねぇやつに何おしえてんじゃあ!!」
大音量に青年たちが顔をしかる。ルフィとチョッパーが詰め寄る。
「なぁなぁ!お前ぇら人間なのか?」
「お前ぇら来たとき、光って風が吹いたんだ!!」
今度はいきなり人間かなんて聞かれて、ポカーンだ。
「あの、もう一度聞きますが、ここは何て言う海域ですか?」
金髪の青年がポカーンとしながらも尋ねた。
それにポカーンとしたのは麦わらの一味だった。
そりゃあ、ここは誰しもが知っている、力有るものしか入ることのできない、《偉大なる航路》――
「「「「――グランドライン」」」」
なのだから。
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