SHORT
□ナルシス・ノワール
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ウチはパティ。これから昔話を聞かせよう――
あれはウチがまだ子供だったときじゃ。
ウチには年の離れた兄がいた。贔屓無しにかっこいい自慢の兄じゃった。
兄には友達がいた。よく家に遊びに来ていた、白い頬と黒い髪のコントラストが美しい少年。ウチはその人に憧れた。
母が手入れしていた茨の庭をよく追いかけた。兄には邪魔にされたけどの。
薔薇が咲いた時にはそれを摘んで渡した。その人の「ありがとう」という心地よい声が聞きたくて。
雨が降っていたある日のことじゃ。その日、二人は兄の部屋に籠っていた。あの人に会いたい。ただそれだけで兄の部屋に向かった。
部屋の戸はわずかに空いておった。
ちょっとした好奇心じゃった。その隙間から部屋を覗いたのは。
薄暗い部屋の中、二人は抱き合っていた。
その様子は息を呑むほど美しかった。幼いながらに見てはいけないものだと胸が騒いだ。
その日から数日後、兄は両親と何やら揉めて、家を出ていってしまった。あの人もばったりと来なくなった。
……その理由がの、最近わかったのじゃ。
町外れの湖――ここに二人は沈んだのじゃ。
あれから長く時は過ぎたが、ウチはの、誰一人、あの人以外を愛せなかった。未だに何も知らない少女の日の初恋を引きずっておるのじゃ。
ああ、ほとりに咲くこの黒い水仙は二人にどれ程妖しく薫ったのであろうな……
END
---------- ア ト ガ キ ----------
ALI_PROJECTさんの曲をリスペクト。
きれいな曲ですよね〜。耽美って感じです。
あ、お兄様と親友はフレユリです。
25動で朝菊←或な動画を見て、Vでもやりたいなぁと思って書きました^^
感想、誤字脱字の指摘大歓迎です!
那魅