SHORT

□Love story
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真夜中の逢瀬を繰り返したオレたちはお互いの秘密を共有した。

オレが本当は女で未来が決められていること。
バラッドが小貴族の次男で医者になりたいこと。

「兄さんがいるんだから、僕は家を出て良いと思わない?」
「ハハハ、確かにな」

口を尖らせて拗ねた顔を笑うと、バラッドは照れがくしのムッとした顔になった。けどそれも一瞬。またいつもの笑顔に戻ると、星空を見上げた。

「このまま、二人で逃げれたらいいのにね」
「……」

繰り返される逢瀬の中、二人は何時しか惹かれ合っていた。

「この町を出て、僕は医者になって小さな村とかに行くんだ」
「それで?」
「そこに診療所を開く。そして僕の隣にいるのはルークなんだ」

とても魅力的な夢だった。
輝かしい未来がバラッドの言葉にあった。
叶うはずがない。そう思った。

「僕、きみを迎えにいくよ。夢を叶えるため」

だけどバラッドがそう言うから、温かい未来を信じたくなった。



――十七となってすぐの夜のことだった。



その日、父に呼び出され書斎に向かった。
とても嫌な予感がしていた。

「父上、ルークです」
「入れ」

入室すると父は真っ直ぐにオレを見た。そして言った。

「お前の外出を禁ずる」
「っ!」
「夜、男と逢っていたのだろう」

やっぱり知られていた。
悔しいけれど父に従うしかなくて、そのあと部屋に戻って一人泣いたんだ。

――完全に世界から切り離されてしまった。

外の断片しか見ることの許されなかった自分にとって、バラッドが世界そのものだったから。

唯一の希望はバラッドが言った「迎えに行く」という言葉。
その言葉を密かに胸に抱いて一日一日を過ごした。



だけどバラッドは来なかった。



迫る十八の誕生日にオレは恐怖した。



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