SHORT

□さよなら、ロミオ
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二人の目に映る世界はとても鮮やかだった。
それがどんなに狭く小さな世界でも。

だがそれは『二人』だったからなのだと後に気付いた。

彼の父親が死んで、彼は母親と下町を出ていってしまった。
それからの世界は本当に窮屈で色褪せていた。

そこで気付いてしまったのだ。自分は彼が好きだと言うことに。

再会した後も、喧嘩ばかりの日々が少々続いた。
仲直りをしても、この気持ちは伝えられなくて。いや、仲直りの直後だからこそ言えなかった。
また関係が壊れてしまうのが怖かった。その恐怖はずっと付きまとい、結局気持ちは言わず終い。

なのに「親友」「友人」と言われるたび、辛くて。

そして今は彼の結婚相手に立派に嫉妬してる。
想いを伝える努力さえしないで。
「――認めなきゃな…」

選ばれたのは彼女なのだ。
『幼馴染み』で『同性』の自分ではなく、誰から見ても可憐な守りたくなるようなあの子。

お似合いな二人。
太陽と花のようで、影である自分が入る隙などなく。

けれど、今だけは望まずにはいられなかった。



昔のまま入ってこないで…



――今日が終われば、また『親友』に戻るから。

――ちゃんとお前にさよならするから

だから今だけは…



END
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